Red Dracul Scar Tissue:吸血体改造実験により産み出された“ツェペシュ3兄弟”と、一人の人間によるバンド「Red Dracul Scar Tissue」(通称:レックル)。彼達の奏でる“BLOOD ROCK BAND”には純粋な人間を快楽の世界へ引きずり込む力がある。彼等は地底の奥深くにある“裸母湖”の“怖乱風流城”で、自由きままな吸血音楽生活を送っている。
2009年の上半期、Web界で話題となったWebサイト「
Red Dracul Scar Tissue(レッド・ドラクル・スカー・ティシュー、以下レックル)」。その入り口はイケメンロックバンド、
flumpoolのWebサイト。左下にひっそりと置かれた扉を開くと、ヴァンパイアの住む怖乱風流城と奇妙な生き物たちが飛び回る世界が広がる。まるでアウタースペースのディズニーランドのごとき圧倒的世界だ。果たしてどこの誰が何の目的で創り上げたのか?!今回ホワイトスクリーンではプロジェクトを手がけたあのクリエイターに突撃!どこよりも詳しいレックル解体新書をお送りしよう!
■レックル解体新書
左より 東市篤憲氏(WOW)、安達亨氏(AC部)、板倉俊介氏(AC部)
洗練されたビジュアルと圧倒的な完成度に驚かされるばかりのレックルWebサイト。プロデューサーは映像プロダクション
WOW所属の東市篤憲氏。キャラクターデザインとアニメーション制作は、ハイテンション映像制作チーム
AC部(安達亨氏、板倉俊介氏)が手がけた。
東市:アーティスト公式サイトって、保守的になりがちですよね。そこを覆すのが、エグゼクティブ・プロデューサーの相馬さん(アミューズ取締役の相馬信之氏)と僕らの狙いでした。目指したのは、メンバーのキャラ設定がしっかりしていて、エンターテイメント性があるWebサイト。そこにいたずら感や毒っ気が欲しいと思った時に浮かんだのが、AC部がアニメーションを手がける
伊武雅刀さんのWebサイトでした。彼らには企画から入ってもらって、AC部のイラストでflumpoolのメンバーをキャラクター化した「裏flumpoolWebサイト」を創り上げることになったんです。
AC部にしても、実在のバンドの架空のキャラクターを作るのは初めて。爽やかな新人ロックバンド、flumpoolのために彼らが提案したのは「人面魚」、「宇宙人」、「ゾンビ」の3種類。flum"pool"だけに水槽、ということで生まれた「人面魚」プランでは水槽を覗きに来る感覚でリピーターを狙ったが、「体が魚なのは行き過ぎ」と言われボツに。キーワード"稲中卓球部”のもとに誕生した「宇宙人」プランでは、キャラクターがAC部おなじみの全身タイツ姿で登場。親しみやすいキャラクターを目指したがあえなくボツ。最後の「ゾンビ」プランは、ゾンビだけに"腐乱プール"。可愛さとかっこよさのある、ポップなホラーテイストのビジュアルだった。
こちらは原案のゾンビ案イラスト。「女子中高生はホラーっぽくて可愛いのが好きなので、その辺を狙ったら楽しいと思って。表のflumpoolサイトがサワヤカなだけに、ギャップを出してみました」(AC部 安達氏)
■女子中高生卒倒!レックル誕生!
左から|ラドウ:ベース。異母兄弟。狼男とのハーフ。狼男+バンパイア。尻尾は100メートル以内にいる美女を探る。|ヴラド:ボーカル。次男。ギターで自分の思考を周りに伝えることができる。|ミルチャ:ドラム。望遠鏡を部屋で見て過ごす男。天体観測とドラム叩きでストレスを発散する。|ペス:バンヘルシンクを祖先に持つ召使。女性にモテることを夢見て脂肪吸引手術を受けるが失敗。レックルのブログを書いている。
そして採用されたのが「ゾンビ」プラン。最初はアニメ「怪物くん」のような構成だったが、"見たことない編成で"という意向により、ドラキュラ3兄弟プラス人間にチェンジ。ついにレックルが誕生した!"体さえも楽器"などの基本設定を踏まえてAC部がキャラクターデザインを創り上げ、相馬氏がイラストからインスパイアされるままにストーリーを紡いでいった。それぞれのキャラクターはかなりデフォルメされているが、メンバーの趣向を取り入れているのである意味リアルだという。
東市:当初はもっと崩した画風で、本来のAC部テイストに近かったんです。「カッコいいに越したことは無い」ということで(笑)、今のテイストにブラッシュアップしていきました。
安達亨(AC部):こういう描き込む感じの画風は大学以来だったので、最初は慣れなくて苦労しました。次第に吹っ切れてきたんですけどね。
レックルWebサイトはすべてFlashで構築。箱に入った林檎をドラッグするとブタが食べて大きくなったり、メンバーが操るパソコン画面をクリックするとスタッフのWebサイトに飛んだり、とにかくすごい情報量が詰め込まれている。
東市:使っているアニメーションは、ざっと数えて2~3,000はあると思います。
安達:"画面のどこを触っても動いている"がキーワード。触れると思ったところを全部触れるようにしました。
板倉俊介(AC部):制作フローとしては、まずPhotoshopなどで静止画を描き、アニメーション用にレイヤーを作ります。フラッシャーの方には画像個別のファイルをここに配置して何コマで動かしてくださいという指示を書いて依頼していきます。
東市:ここで難しいのはマウスの動かす範囲の設定です。画面上の至るところに動くモチーフがあるので、個々のマウスアクションの範囲設定がすごく微妙で問題でしたね。
このサイトにはナビゲーションがない。通常のWEBサイトのUIを無視したことには、どんな狙いがあるのだろうか?
東市:お客さんが自分でルールを探すことによって、ファンのユーザー・コミュニケーションにつながる要素になればという狙いがあります。Webサイトにおける無駄な要素はそぎ落としつつ、マウス操作のアクションのみで成り立っているんです。
■「Webサイトの映像化」プロジェクトとは?
flumpool 怖乱風流 ~ Red Dracul Scar Tissue ~ 「裸母」ダイジェスト映像
Webサイトの好評を受けて、「Webサイトの映像化」プロジェクトがスタート。オリジナルソング「裸母」、「WM」のミュージックビデオ(MV)をAC部が監督。Webサイトのモチーフを使用し、レックルの世界観が包括的に表現される映像作品となっている。
安達:「裸母」の狙いは、Webの世界観に入った感覚。見る人に、"あのWebのMVだ!"と思ってもらえるような作品が狙いでした。細かいネタをどんどん詰め込んで、見る度に発見がある作品にしようと。WebとMVの繋がりを頭の中で補完して、頭の中で360度の世界を作ってもらえるような。例えるならばドラクエのアニメ化という感じかもしれません。
「裸母」では、人間の女の子が怖乱風流城に紛れ込んだというストーリー調のMVにしています。「裸母」ではサイトと連動しているので、MV公開の時点でオープンしているWebコンテンツだけを使って、サイトの先をバラさないように気をつけました。「WM」では自分たちもこの世界に馴染んで(笑)心に余裕が出来たので、まだオープンしていないサイトのコンテンツをチラっと見せています。
板倉:このプロジェクトでは、基本的にキャラクターは安達、背景は僕が担当しています。「裸母」ではレックルの部分を安達、女の子を僕が担当し、後で組み合わせました。女の子やflumpoolのメンバーなど、怖乱風流城の世界の外からやってくるものは写真で表現して区別しているんです。写真のままだと生っぽすぎると感じたので、イラスト風に加工しました。
制作期間は「裸母」が3週間、「WM」は2週間という驚異的なスピード。「WM」ではこれから予定されている未公開コンテンツがあるというニュアンスになっているので、これからのWebサイトが気になる人はじっくり見てみよう。この2作品はDVDとしてリリースされることになり、タワーレコードにて「Red Dracul Scar Tissue I」として販売されている(購入は
こちらから)。
■まだまだ続くレックルプロジェクト!
タワーレコード渋谷店に設置された豪華仕様の3D筐体(現在は終了)
まだまだ広がりを見せるレックルプロジェクト。TOWER RECORDS 30周年×SPACE SHOWER TV 20周年のスペシャル・コラボレーションとして、タワーレコード渋谷店の店頭にて3D映像でのプロモーションを行った。豪華筐体から裸眼でコンテンツが空中に浮かび上がっているように見えるのだ。この3D映像は
立体映像装置「Holo」を使用したもので、7月31日まで展示を行っていた。また、タワーレコード店頭やオンラインショップで購入できる限定Tシャツ(
タワーレコードと
SPACE SHOWER TVのWebショップにて色違いが購入できる)も要チェック!
Webサイトから始まり、MVやTシャツ、3D筐体まで拡がりまくったレックルプロジェクト。今後の展開を聞くと、「レックルメンバーが等身大の3Dホログラムで登場するライブ」やオリジナルのショート・ムービー、さらにはWebサイトの漫画化というアイデアも進行中のようだ!
5つの質問 一問一答
Question 1: 影響を受けたものを教えてください
東市:MC Escher
安達:まんが、劇画
板倉:学生の頃の仲間
Question 2: この職に就いたきっかけは?
東市:映像が好きなので
安達:漫画家になりたいと思って美大に入り、映像の授業を受けて映像にハマる。そして社会人へ
板倉:大学からの流れで
Question 3: 一番好きな映画は何ですか?
東市:ルパン三世 - カリオストロの城
安達:トランスフォーマー
板倉:アイアンマン
Question 4: 作業場のまわりに必ず置いているものベスト3は?
東市:ヘルメット、グローブ、SIDIシューズ(すべてロードバイク用)
安達:iPod Touch、イヤホン、コーヒー
板倉:iPhone、サイダー、コーラ
Question5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
東市:クオーツコンポーザーとロードバイク
安達:お台場の1/1スケールガンダム、小径自転車でスピーディに都会を走りぬける
板倉:エビの飼育