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菅原そうた主演・監督・制作!Cintiq 21UXで描くオリジナル映像「endless loop」
2010.08.11.Wed
Category : Special

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漫画家、グラフィックデザイナーの菅原そうた氏
漫画家、映像作家、グラフィックデザイナーとして幅広く活躍するクリエイター、菅原そうた氏。ユーモアたっぷりのCGアニメ・テレビ番組「ネットミラクルショッピング 」や本格SFストーリーを展開した漫画「未知次元 」など、いろいろなメディアで絶妙なセンスを発揮した作品を発表し続けている。それ以外にも作曲やVJ、兄がヴォーカルを務めるバンドB-DASHのジャケットやミュージックビデオ(MV)などのグラフィックデザインまでもこなす。「これほどいろいろなメディアを器用にこなせるクリエイターがかつていただろうか」と紹介したくなるほど幅広いメディアで活躍中だ。そんなホットなクリエイターが、今度は自ら実写で出演するまったく新しくオリジナル映像「endless loop」を制作した。この作品のメイキングについて話を聞いてみた。

■出演から脚本、映像制作を全て一人でこなす
「endless loop」 dir: 菅原そうた
漫画家、映像作家、グラフィックデザイナーとして幅広く活躍するクリエイター、菅原そうた氏。ユーモアたっぷりのCGアニメ・テレビ番組「ネットミラクルショッピング 取材当日の第一声は「上海万博から帰ってきたばかりなのですよ」と近況の紹介から始まった。まず、上海で買ってきたiPadに似た携帯マシンや日本の家電メーカーのロゴが入った360GBのUSBメモリなど、謎の製品をいろいろ見せてくれた。やはり自身が手がける映像作品のように面白いクリエイターである。

制作現場に目を向けると、フルCG映像作品を制作するためのフルタワーのマシンがずらりと並んでいる。巨大なビデオカードを搭載し、4.2GHzまでにオーバークロックしたCPUは水冷により問題なく動いている。

「"ネットミラクルショッピング"は1週間に3分の映像を監督、企画、制作、声の出演まで含めてコンスタントに2個作らなければいけませんでした。高速なマシンがいくらあっても足りない状態で、連日朝起きた瞬間からレンダリングといった感じでしたよ」と菅原氏。

ネットミラクルショッピングとは、ありえない商品を題材にした笑えるテレフォンショッピングのCGアニメ。第1期が大好評で第2期シリーズも毎日放送やキッズステーションなどで先日まで放送されていた。いくつかのエピソードがWebサイトYouTubeで公開されているので、ぜひ観てほしい。たった一人でアイデアから映像制作まで実現していることの凄さや、ユーモアが一目瞭然で分かると思う。

そして本稿で紹介する新作オリジナル映像が「endless loop」。菅原氏の漫画のようなサイバーな独特のSFっぽい作品だ。分厚いので分かりにくいかもしれないが、本編に登場するオブジェクトはワコムの液晶ペンタブレット「Cintiq 21UX」をイメージしたもの。これらのCGは3ds Max 7で作成し、実写はEOS 7Dで撮影して、全工程を一人で制作している。面白いのは実写には自ら出演するという新しいチャレンジが行われている。

「自分が出演することに抵抗もありましたよ。ただ、協力してくれる人がいませんでした。学生時代に実写作品に出演したことがあるのですが、"格好をつけているんじゃないよ"とおちょくられた思い出があり、2度と出演しないと思ったのですが」

出演したくないと言っても出なければいけない理由があった。制作するにあたり、最初に決めた企画が背景はCGで役者は実写であること。予算や期間が限られているので、役者は実写が前提だった。

「これが逆転したら大変なことになります。実写の背景であれだけのセットで撮影をしてCGのキャラを動かすとなると、作業量は10倍ぐらいに膨れあがちゃいますよ」。

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本編に登場する菅原氏
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ワコムの液晶ペンタブレット"Cintiq 21UX"が登場

■自分を実写で撮影し、背景はCGで作成
制作工程の概要はこうだ。まず最初は絵コンテを描く。自分だけ分かればいいので、かなり走り描きのものだ。

次にグリーンバックで実写の撮影を行う。使ったカメラはキヤノンの一眼レフデジタルカメラのEOS 7D。レンズは近距離でもピントが合うズームレンズと魚眼。カメラを動かすとぶれてしまうので、極力カメラは固定で撮影をする。カメラが動かなければCGの合成も楽になる。

「俯瞰気味のカットが絡むときは小型クレーンを使いました。このクレーンも通常購入すると30万円から40万円するのですが、クレーン本体のみにすれば9万円で買えちゃうんですよ。でもモニタまで省いて注文してしまって・・・カメラアングルを決めても画角の端に映ってしまったり。結局、秋葉原に行って1万円で小さいモニタを購入してきて、その問題を解消しました」

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自宅の制作現場にはスタジオがある。自費を投じて新しく設置されたクレーン
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スタジオにはなんとモーションキャプチャまで常備されている。全て私物。
次にCGを作成する。撮影された実写を確認しながら、目分量で背景のアングルを3D CGソフトの3ds Max 7で作っていく。シーンは上下左右に閉じられた空間なので、テクスチャを上手く使えばそれほど苦労せずに作れるという。

背景のCGが完成したら、EOS 7Dの映像と3ds Max 7で制作したCGをAfter Effectsで合成する。まず、グリーンバックで撮影した実写から背景を抜いて、背景のCGの上に乗せる。CGと実写は主に彩度を合わせることで馴染ませ、ノイズをかけつつ緑の色味をオーバーレイで乗せて合わせていく。合成時の失敗もこう付け加えてくれた。

「カメラワークもプルプル震わせて手持ちカメラでっぽくしようとしたのですが、逆に何でカメラが震えているのか分からない映像ができてしまいました。これは完全な失敗でしたね」

■液晶ペンタブレットで作業を高速化
本編の制作でもっとも時間がかかったのが実写から背景を抜く作業だ。マスク抜きの作業だけで4日ぐらいかかったと言う。この工程だけでこれほどの時間がかかることから、マスク抜きがいかに大変かが分かる。

具体的には、グリーンバックで撮影した背景はAfter Effectsのキーイングで抜く。しかし、アップがあるカットはPhotoshopのツールでアウトラインを設定して抜いていく。アウトラインがでこぼこの時はペンツールを使い、長い曲線の場合はパスツールを使う。

だが、ここで問題がある。Photoshopのペンツールとパスツールで人の輪郭を抜く際に、この作業をマウスで行うと精密にアウトラインを設定できないし、時間がかかる。例えば頭部などはフードをかぶってアウトラインを極力単純化しても、非常に困難な作業なのだ。そこで、菅原氏が白羽の矢を立てたのは液晶ペンタブレットのCintiq21UXだ。菅原氏は2年前から21.3インチの液晶モニタを搭載したCintiq 21UXを導入している。漫画の連載中に通常のペンタブレットを購入したことがあったが、使いこなせず悩んだことがあった。そこで、手の動きを目で確認しながら紙や絵筆と同じ感覚で作業することが可能になるCintiq 21UXの存在を知り、"これはいけるじゃないか?"と思って購入した。効果は期待通りだったという。

「僕は絵が描けないので、写真を撮ってそれをトレースして絵を描いていきます。それをマウスでやったら1時間かかりますが、ペンタブレットに慣れたら5分とか4分でできます。Cintiq 21UXはそれなりの値段ですが、価格以上の効果です。漫画の単行本だせましたから(笑)」
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Cintiq 21UXに向かって作業する菅原氏。モニタは垂直気味の角度に立てて使っていた。寝かせて使うことはないという

Cintiq 21UXはもともとは漫画を描くために購入したものだが、今回の映像制作のような実写の映像から人物のマスクを抜くの際にも必須といっていい。

「マウスでパスを抜くよりも、Cintiq 21UXを使ったほうが10倍ぐらいの早さで抜けます。Cintiq 21UXを使うと1枚のスチルからマスクを抜くのに5分です。この作業でマウスを使うことは考えられないですね」

■作業をアシストしてくれるトラックパッド
菅原氏が使用したCintiq 21UXは、ペン入力機能の仕様を刷新したニューモデルだ。新しいCintiq 21UXを使って便利だったのが、Photoshopのカンバスをトラックパッドで回転できることだと言う。トラックパッドとはCintiqの両サイドの背面に搭載されたセンサーを指でなぞるポインティングデバイスのことで、カンバスの回転はPhotoshop CS4以上に搭載された新機能だ。

「トラックパッドには4つの機能を登録できますが、その中でも標準で設定されているカンバスの回転は絵を描く人にとって自分の腕のクセと一体化できる、とても便利な機能です。Cintiq 21UXはモニタ本体自体を回転させて手の角度に合わせることでもできますが、トラックパッドで操作するとカンバスを回転させたいと思った瞬間に思い通りの角度に設定できますね」

従来は1,024レベルだった筆圧機能は2,048レベルに倍増している。描き味についてもこう語る。

「新モデルは明らかに描き味が向上しています。本当に筆で描いたような感じです。僕の場合は、絵が下手なのであまり抑揚を表現できていないのですが、本当に絵が上手いならばかなり活用出来るでしょうね。手描きそのままパソコンに導入したい人にはもってこいじゃないですか」

さらにCintiq 21UXだからこそできる使い方も紹介してくれた。

「Gペンとか本物の画材をぜんぜん触ったことがない人でもアシスタントとして手伝ってもらえます。『未知次元』を連載していたとき、妹によく手伝ってもらったのですが、俺とまったく同じような絵を描いてもらえることができました。デジタルであれば全部のツールがそろっているので、誰でもクリエイティブの世界に参加できますね」

■実写映像の量産が可能になった
現状の表現にとどまらない菅原氏。最後に大胆な次の企画を明かしてくれた。それは短間隔の連載実写映像企画だ。

「今まで漫画やアニメをやってきましたが、今度は人生をかけて実写をやっていこうと考えています。漫画の場合は週刊の連載が可能ですが、映像は大がかりな企画ばかりで週刊のようなものはありません。そこで、ひたすら週刊で実写作品を更新していくのは面白いのではないのかと考えている最中です」

PCの処理能力だけでなく、Cintiq 21UXのような生産性を高めてくれる周辺機器の登場により、実写映像制作の敷居が下がってきている。量産やアイデアの具体化が可能になったと感じたようだ。

菅原氏は先代バージョンのCintiq 21UXで漫画家の扉を開き、今度は実写映像の扉を新型のCintiq 21UXで開こうとしている。近いうちにまた菅原氏の実写映像作品が話題になりそうな予感がする。

Cintiq 21UX
ワコム社の数あるペンタブレットの中でも最高級機種であるCintiq21UX。21.3型モニタを搭載した液晶ペンタブレットで直接モニタに描画が可能。Intous4テクノロジを採用し、直感的操作と誤動作防止を考慮した新デザイン。2,048レベル筆圧機能のほか、ワンタッチでショートカットなどを実行できるファンクションキーと画面の拡大縮小やスクロールが可能なトラックパッド(背面)を両サイドに搭載。
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最上位モデル「Cintiq 21UX」

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